劇薬ジョーカー

ここんとこ。
いっろいろありすぎて、
毎年恒例、
彼岸時の不調から
このかた、
気づけば3週間近くも
日記を書けなんだ。


長年懇意の国士が亡くなった。
ただただ呆然。
葬儀で号泣し、
涙も枯れ尽きたかと
思われたのだが、
その後も悲しみは癒えることなく、
いまだ立ち直れない。


惜しい。
ひたすら惜しい。
どんなに彼が我々にとって
重要な存在であったか。
そして何より、
日本にとって不可欠な
人物であったことか。


抜け殻状態で
ろくろく飯も食えず、
風呂に入る気力もなく。
そんな折も折。
危険と予感していたのに、
わっざわざ自ら
劇薬摂取に出向いてしまった。
日米同時公開中の映画、
「JOKER 」。


叩きのめされた。
絶望した。
と同時に。
味わったのは、
とてつもないカタルシス


ネタバレにならぬ程度に
好きなシーンを挙げると、
主人公とママのダンス。
キメキメの階段ロケンロー。
スタンダップ・コメディアンを
夢見ていた彼が
ラスト近くで文字通り、
立ち上がる(stand up)場面。


まるで現在進行形の
香港を彷彿とさせる後半は
Zeitgeist(時代精神)のもたらす
恐るべきシンクロニシティ
思わず背筋が寒くなる。
この作品は今、
香港でも上映中らしいが、
もし不肖キツネが
行政長官だったら、
迷うことなく
上映禁止にするね。
まあ香港情勢については
機会をあらためて。


オリジナルのサントラに加えて
古今のロック名曲の
選曲も素晴らしく、
特にクリームの
「ホワイト・ルーム」が
使われるシーンは
つい先日ドラマーの
ジンジャー・ベイカー
亡くなった直後だけに、
不思議なタイミングを
感じさせられる。


ジョーカー役としては、
ヒース・レジャー
超える役者は現れないと
思っていたが、
今回主演の
ホアキン・フェニックス
まさにジョーカーという
ミームが彼の魂を食い破って
完全憑依した凄演ぶり。


このジョーカーは
ジョークを言わん。
コイツが口を開く時は、
いつだってマジなのさ。
あーっはっはっは。
メンタル病んでるヤツは見るな。
いや見ろ。
飛ぶぜ!
間違いなく。