明けても暮れても

令和最初の年末年始は
「JOKER 」に暮れ、
「JOKER 」に明けた。
通算鑑賞6回。
上映中これほど
劇場に通いつめた
映画はいまだかつてない。
この年になって、
ここまで吸引力の強い
作品に出逢えたことを
あらためて幸せに思う。
詳細感想は過去日記をば。
https://jazzydays.hatenablog.com/entry/2019/10/12/231731
https://jazzydays.hatenablog.com/entry/2019/11/07/164905
https://jazzydays.hatenablog.com/entry/2019/12/27/034634


4回目の鑑賞は12月25日。
クリスマス?
知ったこっちゃねえ。
不肖キツネの
キリスト教への疑念は
小学5年に始まり、
高校2年でめでたく
強固な確信に至った
筋金入りじゃ。
最初の大病の際は
あえてクリスマスイブを
手術日に選んだほどである。
あーっはっはっは。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψ


5回目は、
ってぇと元旦。
年明け早々に見るには
ぜんっぜんおめでたい
作品じゃないのは承知だ。
映画館に近い銀座の街中は
ビッシリ日の丸が連なり圧巻。
久しぶりに訪れた
7丁目の銀座ライオン
風格も味もさることながら、
スタッフのキビキビした
接客に歴史ある店で働く気概と
誇りが感じられて素晴らしい。


そして6回目は
国内上映最終日の1月9日。
もう、さんっざん見ただろ!
と自分ツッコミしながらも、
いてもたってもいられず、
劇場での見納めに赴く。
何度見ても必ずや発見があり、
ズシリ重たくヒリヒリ痛く、
それでいて最上級の
カタルシスが得られてしまうのよ。


アーサーとペニーの
母&息子密着、
アーサーの絶え間ない
チェーンスモーキング(口唇性欲)、
マレーとウェインに対する
象徴的・間接的な父殺し等々、
随所にフロイト的なシーンが
散りばめられているのは
いかにも精神分析大国、
アメリカらしい。
注目すべき点は想いを寄せる
ソフィーと一緒の際は
アーサーが(妄想の中とは言え)
煙草を吸っていないことだ。
「成熟した男性」の
無意識アピールだろうか。


ジョーカーとしての
アーサーが当初企んでいた
一世一代の「ジョーク」は
彼がゲストとして
招かれたマレーの番組に
出演中に銃で自殺を遂げ、
それを全国的に放映させる
ことであったろう。
そのシナリオが
どの時点で変更されたか。
かなりギリギリだったのではないか。


おそらく。
「もうひとつジョークはどうだ?」
とマレーに問いかける場面が分水嶺
「いや、もう十分だ」。
さえぎってアーサーの言葉に
いっこうに耳を傾けぬ
マレーに向けて銃は発射される。
“You get what you fuckin' deserve!”
(報いを受けろ!)


これと一字一句たがわぬセリフが
ウェインを撃つ男の口から
発せられており、
彼はアーサーの代理として
ウェインを殺す役目
であることが読み取れる。
マレー、ウェイン、
手に入れたくとも
叶わなかった二人の
「父親像」へのリベンジが
果たされるのだ。


最終鑑賞日は
上映に先立って
神田明神を参拝。
何年ぶりだろう。
ご無沙汰している歳月の間に
境内には立派な会館が
出来上がっていた。
以前は毎年欠かさず
詣でていたのに、
事情あってお参りできない
状況に縛られていたのだが、
奇しくも
将門公没後1080年の今年、
戻ることができたのは
思し召しでありまっしょう。
ひっさしぶりに
帝都物語」を
読み返してみようかのう。


さあさあ。
寝ても覚めても
明けても暮れても。
降っても晴れても。
ずーっと。
将門公、
そしてアーサーとの
旅は続くよどこまでも。