十束尚宏&東京フィル第九

jazzydays2007-12-24

感無量。
この人の指揮する第九を聴くのは
一体、何年ぶりか。
十束尚宏(とつか・なおひろ)。
私にとって今も昔も
最高・最大・最愛の指揮者。
その経緯についてはこちらを。↓
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20060226


小林研一郎
炎のコバケンなら。
十束尚宏
灼熱のトツカだ。
ふだんは温厚篤実、
礼儀正しく控えめな彼が、
わずか数十cmの指揮台に上ったとたん、
燃えさかる火の塊に変貌する。
没我没入、
ミューズ降臨、
弁財天憑依。

彼は身振りだけでなく、
表情でも指揮する。
時には唸り声を伴う。
楽家は顔力が命。
無表情は興ざめだよ。


昨日の第九は@上野・東京文化会館
オケは東京フィル。
コンサート・マスターは荒井さんだ。
若々しい熱演ぶり、
変わってないなあ。
ソリストは。
ソプラノ、緑川まり。
アルト、米良美一
テノール、湯川晃。
バリトン、秋山隆典。


アルトをカウンターテナー
受け持つのは極めて珍しい。
それも。
あの米良美一だ。
この人も苦労したわねえ。
私がバッハ・コレギウム・ジャパン
初めて彼の声に接した時の
あの驚き。
あの感銘。

それが。
宮崎駿に「もののけ姫」を
歌わせられたのがキッカケで、
彼の人生の歯車は
大きく狂ってしまった。


私は偽善者ロリ親父・宮崎の作品が
虫酸が走るほど嫌いである。

キャラの顔はどれもこれも同じ。
「善人ヅラ」下げたストーリーも
気色悪いの一言だ。
反骨・パンクを旗印とする私には、
吐き気を催させることばかり。


今回のオードブルは
ワーグナーの歌劇「リエンツィ」序曲。
十束特有、
熱い情念のうねりが
早くも顕現。
そしてメインの第九。
テンポはかつての
パンキッシュで鋭角的な
猛スピードとは異なり、
ふくよかな円熟味を
感じさせるものへと
変化していた。
それでも。
緩急の妙、
ウェット&ドライの共存、
火傷しそうな気迫

はこれまで通り。


緩徐楽章は相当に速め。
この部分は第九を
聴き慣れていない聴衆の多くが
居眠りしてしまう難所なのだが、
十束の情熱的な指揮は
それを許さない。


やっぱり。
私にはこの人しかいない。
指揮者は十束一人いればいい。
しかし。
現在はウィーンで
オペラの研鑽を積んでいるそうで、
なかなか国内で演奏会に
接する機会がないのが残念だ。


終演後、挨拶に向かう。
この数年、
御無沙汰している間に
相当やせて
やつれちまった私。
ちょっぴり怖気づいていたのだが。
彼は以前と変わりなく、
温かく接してくれた。
「すっかり太っちゃって....」
と苦笑していたが。
いやいや。
十数年前と見た目は
ほとんど変わらない。


スケジュールを把握しにくいため、
ホームページを作らないのか?
との私の問いに対し、
彼は消極的だった。
心ないネット上の書き込みに
かなり参っているようだった。


十束さん。
くだらんカキコなんか、
アタシゃちっとも気にしてないよ。
グーグルで検索してみな。
上位に必ず私のブログがいるから。
それを読んだ人には、
あなたの音楽の素晴らしさは
きっと伝わる。
そう信じてる。
画像は昨日「冥土の土産」に
撮ってもらった1枚。