劇薬ジョーカー Part 2

2度目の「JOKER 」鑑賞。
今回はIMAXにて。
通常上映でも十分すぎるほどの
インパクトがある映画だが、
大スクリーンと
迫力あるサウンド
いっそう内容のヘヴィさを
突きつけてくる。
主だった感想は前回と
変わらないが(下記参照)、
https://jazzydays.hatenablog.com/entry/2019/10/12/231731
書き忘れていたこと、
今回気づいたことを
列記してみる。


まず。
大きな特徴が
「父親不在」である。
ヒース・レジャー
ジョーカーを演じた
ダークナイト」が
父・息子の病理とすれば、
今回は母・息子の病理だ。
病身の母を案じ深く愛する
主人公アーサーには父がいない。


憧れのスター司会者マレーに
ステージ上で
「息子のように」
抱きしめられる妄想。
実の父と信じて訪ねた
ウェインに冷淡にあしらわれ、
あげくはブン殴られる
シーンと共に切ない。
そして。
アーサーが好意を寄せる
アパートの近隣住民、
ソフィーもまた
シングルマザーである。


一度に両親を亡くした
ブルース少年が
いずれバットマンになるのが
本来の流れなのだろうが、
彼はむしろアーサーに
憑依したジョーカーの
ミームを受け継ぐような
予感を抱いてしまった。
本作「JOKER 」は内容的に
もはやDCコミックスから
逸脱した独自の作品と
言っていいのではないか。


初回鑑賞時は
ストーリー展開を
追うのに忙しかったが、
2度目の今回は
画面構成の妙、
オリジナル楽曲と
往年のポピュラー名曲を
含めた音楽の
圧倒的な素晴らしさ、
さらにアーサーの名言セリフの
数々をじっくり
堪能することができた。


このトシになって、
これほど入れ込める
映画に遭遇できたことは
僥倖というほかない。
それも。
今やリメイクと続編だらけの
ハリウッド映画の中で。
また見ちゃうぜ、きっと。
しめくくりに。
不肖キツネにとって
最も印象的なセリフを
置いとくとしよう。


"For my whole life,
I didn't know if I ever really existed.
But I do.
And people are starting to notice. "
- Arthur Fleck