コトノハPOWER

jazzydays2008-09-13

十数年の歳月を経て
再会した師匠は
驚くほど変わっていなかった。
私自身は
師事していた当時にくらべて
ゲッソリやせて
やつれ衰えているため、
会ってもすぐには私だと
認識してもらえないのではないかと
心配しており、
事前に電話でも
そう伝えていた。
ところが。
師匠の明るい第一声は。


「全然やせてないよ!」


さらに。
近年ガックリ低下した
知識量&能力について
「すっかり退化してしまいました」
と正直に述べると。


「いやいや、進歩してる!」


肯定的な、
前向きな、
力強く温かい響き。

乾ききった砂地に
スコールが降りそそぐ。


これまで私は。
さまざまな
音楽を、
舞台を、
書物を、
映像を、
美術を、
人々を、
店々を、
大いに賞賛してきた。


しかし。
実は。
誰よりもホメられたい、と
願っていたのは
他ならぬこの私だったのである。
下記の対談集から
印象的な箇所を引用しよう。


私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)


斎藤「僕は『喝采浴びゲーム』というのを
   考案したことがあります。
   人生において喝采を浴びるという
   体験をすることは少ない。
   あるとき、僕の講演が盛り上がって、
   最後、スタンディング・オベーション
   受けたことがありました。
   そうすると、本当に振動が伝わってくるのです。
   おお、浴びてる、浴びてる、と。
   この感動をほかの人にも
   味わってもらいたいと思って、
   ゲームを考えました。
   学生に一人ずつ一分間
   話をしてもらって、
   他の人全員がその学生に喝采
   浴びせかけるというゲームです。
   そうしたところ、
   喝采を浴びた学生は皆、
   『クセになります』
   『喝采を浴びるためだったら、   
    何でもしたくなります』と言いました。」


梅田「僕の住んでいる
   シリコン・バレーというところは、
   大人からの『励ましの言葉』にみちている。
    (中略)
   いつもシャワーのように浴びる言葉が
   励ましにみちているのか、
   そうでないのかということは、
   私たち一人ひとりの精神に
   ずいぶん大きな違いをもたらすということです。」


コトノハ=言葉には、
我々が考える以上に
POWER=言霊が宿っている。
上記の対談集については
以前にも日記でふれた。
梅田望夫氏に捧げる私なりの
オマージュである。↓
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20080526


先日。
我が友Jackは言った。
「以心伝心」なんてモノは信じない。
基本的にありえない、と。
言うべきことは
キッチリ言語化せよ、と。

うむ。
全くである。
無言・無視・無反応こそが
私を酒鬼薔薇化(=透明人間化)
させる最たる要因なのだ。
今も昔もな。


ところで。
帝都の香りかぐわしき銀座は
いつ出かけても魅力的。
渋谷や新宿には
決して求めえぬ品格がある。


帰りに有楽町方面へ
向かおうとしたのだが、
思い直して
新橋まで歩くことにした。
できるだけ背筋を伸ばし、
ぐんぐん。
ずんずん。


おまけ。
HMVのメガネ男子コモエスタ。
何て素敵な接客なんだ。
いつもそばにいたら
絶対キミに惚れている。
久しぶりに
店頭で「音楽」を買う喜びを
味わったよ。
ありがとう。


本日の画像は久々、
食品サンプル・シリーズ。
題して。
「天上より降りそそぐマスタード」。