『欲望という名の電車』@東京グローブ座

jazzydays2007-11-21

約1年半ぶりに新大久保へ。
東京グローブ座にて
演出・鈴木勝秀、
主演・篠井英介による
欲望という名の電車』の
再演を観劇。


欲望という名の電車

欲望という名の電車


私が滂沱の涙を流した
青山円形劇場での上演から
早くも4年。
今回は主役以外のキャストを
大幅に一新しての試みだ。


主な配役は。
ブランチ、篠井英介(ささい・えいすけ)。
スタンリー、北村有起哉(きたむら・ゆきや)。
ステラ、小島聖(こじま・ひじり)。
ミッチ、伊達暁(だて・さとる)。
そして何と。
医師役に
はちみつぱいムーンライダーズ
鈴木慶一


余談だが。
年の瀬が近づくと、
頻繁に電車が止まるよな。
毎年お定まり。
このところ毎日のように
人身事故。
あるいは信号機故障。
皆さん。
生き急ぐのも
死に急ぐのも
カラダに毒ですよ。


さて。
欲望という名の電車』の
電車は原題では a streetcar。
路面電車のことだね。
都電荒川線みたいな。


A Streetcar Named Desire and Other Plays:

A Streetcar Named Desire and Other Plays: "Sweet Bird of Youth"; "A Streetcar Named Desire"; "The Glass Menagerie" (Penguin Modern Classics)


平成を代表する女形篠井英介
演じるブランチを拝めるのは、
実に残念なことに今回で最後という。
私にとっては、
彼以上のブランチを
想像することさえ不可能なのに。
だが。
誰よりも何よりも、
ブランチというキャラを
愛し抜いた彼自身が
そう決断したのだから
やむを得まい。
以下、公演パンフレットより
篠井自身の言葉を引用。


≪実は今回で封印しようと思っています。
 僕は自分で演じるだけでなく、
 他の方が演じても素敵な『欲望〜』であれば
 どれも余さず観たいと思うほど、
 この作品の大ファン。
 だからこそ自分で演じることには
 区切りをつけ、今回演じたことを糧に
 また違う挑戦もしなければ、とも思う。
 そのためには、いよいよ本当に
 ブランチを成仏させなければなりません。≫


滅びゆく、
壊れゆく者の美学。

かつては。
ブランチを己の未来像にしてはいかん、
と恐れていたのに。
もはや。
ほぼ現状じゃんかよ。
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20061112
亡くす。
無くす。
失くす。

すべてが指と指の間から
こぼれ落ちてゆく。
この作品に共感を持てぬ人間は、
私を永遠に理解も把握もできんだろう。
身近にそんなヤツがいるとは思えんし
(本日、劇場につどっていた
 名も知らぬ多くの同志=観客を除き)、
土下座してまでお願いする気もないがね。


スタンリーを演じた北村有起哉は、
生涯にわたって
これを当たり役とした
故・北村和夫の息子だそうだ。
舞台に彼が登場して数十秒の間は、
「えっ?どれがスタンリー?」
と、他の男優連中にまぎれて
見分けがつかぬほどだったのだが、
ストーリーが展開するにつれ、
その存在感はグングン増していった。
ルックスは全然、父親似ではないけれど。
声が声が声が!
そっくり!!!


フローベールが残した言葉
ボヴァリー夫人は私だ」と同様、
原作者テネシー・ウィリアムズにとっても
主人公ブランチは彼自身であろう。
そして。
この私にもそっくりだ。
違うのは。
ホテル・フラミンゴを
常宿にしてない点だけだね。


ボヴァリー夫人 (新潮文庫)

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)