ASC『オセロー』その2

昨日に引き続き、
銀座みゆき館にて、
ASC(Academic Shakespeare Company)の
『オセロー』観劇。
今回は新人俳優チームによる、
一人一役バージョン。
キャストはこちらを。↓
http://www.k5.dion.ne.jp/~asc/stage/no34_othello2007.html


4人公演に比較すると、
カット場面が少なく、
セリフ数はグッと多い。
にもかかわらず、
上演時間はより短い。
つまり。
それだけ舞台のテンポが
速いということだ。


前回はオセローに複雑な愛情すら
抱いて見えたイアーゴーが、
今回は一見、キャラ本来(?)の悪辣さを
取り戻したかに感じられるが、
その性格づけは単純ではない。
彼はオセローへの憎悪のみで
突き動かされているのではなく、
もっと根深い「破滅衝動」によって
行動しているのではないか。


上司とその妻を死に追いやり、
友を殺し、妻を殺し、
ライバルを殺しそこね、
ついには「一言も口を聞かない」と
宣言するイアーゴー。
舞台上でも如実に表現されていたが、
彼とオセローは文字通り、
中合わせの存在なのやもしれぬ。


最愛の真珠(=愛妻デズデモーナ)を
自ら手にかけ、
それが最も信頼する腹心(=イアーゴー)の
謀略の結果であったと知るオセローは、
ラスト近くで、こう呟く。
「オセローはどこへ行けばいい?」
このセリフは同時に、
イアーゴーの胸中にも当てはまるだろう。
すべてを失い、
二度と口を開かぬと決意した彼も
きっと心の中で呟いたに違いない。
「イアーゴーはどこへ行けばいい?」と。