好きになってもいいですか。

jazzydays2007-05-30

今をときめく(?)
文壇のヒール、
永遠の悪ガキ、
稀代のパンク右翼・福田和也
その彼が。
どのツラ下げて、
何を血迷ったか、
こんな本を出しているではないか。
心底仰天した。


春樹さん、好きになってもいいですか。

春樹さん、好きになってもいいですか。


いささか自慢めいた私事になるが、
福田氏とは、彼が文芸評論家として
デビューまもない頃に、
3〜4回、酒席を御一緒したことがある。
拙著をお送りしたらば、
御丁寧な手書きのお礼状と共に
氏の最新刊を献本いただいたっけ。
ゴールデン街の小汚いバーで、
マニック・ストリート・プリーチャーズ
ラフィン・ノーズの話題で盛り上がったのが、
つい昨日のことのようだ。
今やすっかり。
手の届かないお人に
なっちまわれましたわねぇ。


で。話は戻る。
その福田和也をして、
「好きになってもいいですか。」
などと言わせることのできる輩は、
やっぱり、あの男しかあるまいよ。
私は角川春樹という人物に
長年、妙な親近感を覚えてきた。
メディアミックスの寵児としてのみならず、
研ぎ澄まされた俳人としての感性。
ヌケヌケと己を「天才」と呼ぶ厚顔さ。
「生涯不良」を看板とする生きざま。


そして何より。
大野雄二と同世代であり、
イチ早くその才能を認め、
犬神家の一族
人間の証明
野性の証明
と、一連の角川映画で立て続けに起用し、
大々的に彼の存在を世に知らしめた張本人なのだ。
ついでながら。
上記3作のテーマ曲を含む
大野雄二、コロムビア在籍時のベスト盤が
6月半ばにリリースされる。
曲目の詳細はコチラを。↓
http://www.hmv.co.jp/news/article/705210050



さて。上記の福田著作より、
角川春樹の宣言・名言・放言をいくつか紹介しよう。


≪生涯不良、それがおれの生き方だ。
 「天然危険物」という言い方をした女もいたけれど、
 一生、天然危険物でいいと割り切っている。
 刑務所に入ったって、反省もしなければ更生もしない。≫


≪私がギャンブルなんてやってみろ。
 全部勝つに決まってるじゃないか。
 そんなの面白くも何ともないだろう。 
 遊びというのは、
 命を、身体を、魂を賭けるものだよ。≫


≪(注:同級生を評しての発言)
 犬の散歩や孫に小遣いあげるのが、
 一番の楽しみなんだって。
 お前ら狂ってるんじゃないかと思った。≫


≪こないだ、結婚式を挙げたバカがいてね。
 永遠の愛を誓ってるのを聞いて、
 俺、ゲラゲラ笑っちゃった。
 (中略)
 その後、風呂で俳句を考えたんだけど、
 「永遠の愛を誓える四月馬鹿」
 「とどのつまりの結婚なりし四月馬鹿」。≫


いやぁもう。
シビれるシビれるシビれるじゃありませんこと。
確かに尋常でない。
キ○ガイ寸前。
でありながらも、
日常生活をちゃんと営めている。
そんな巨大カリスマ・角川春樹の元を辞し、
幻冬舎を興した見城徹
彼もつい最近、自叙伝めいたアンソロジーを出した。


編集者という病い

編集者という病い


この本からも、印象的な部分を拾っておこう。


表現っていうのは犯罪に近い行為だと思うんですよ。
 (中略)
 寂しさや欠落感が大きい人は、
 表現活動をすることでしか救われないのです。≫


≪結局、俺は自殺すると思う。
 いつなのかは分からないけれども、
 自殺すると思いますよ。
 (中略)
 俺は臆病だからね、死ぬのが怖いんですよ。
 それを埋めるものって何ひとつないんだよね。
 すごくいい女とセックスしたり、
 ビジネス上のある成功によって
 瞬間的には埋められるだろうけど、
 その瞬間が離れるとまた日常は茫漠と続くわけで。
 気づいたら18歳が25歳になって 
 30歳が40歳になって、
 たちまち50歳になっているわけでしょ。
 そうすると、あと20年か30年かと
 思うわけじゃないですか。
 それに耐えきれるかっていわれると、
 俺は自信ないね。
 (中略)
 三島由紀夫はそんな自分を見る前に
 逝っちゃったけどね。
 臆病だからこそ、
 俺は激烈に生きていないとたまらないんですよ。≫


この見城を過去に寵愛した元・上司、
角川春樹は彼をこう評する。(上記の福田著より)


≪批判しているわけではない。
 おれのよきコピーをやっていると
 言っているだけだよ。
 (中略)
 独立してあそこまでやった人間はいない。
 そういう点では、見城を評価している。
 ただ、おれのような天才ではない。
 単なる秀才であって、天才は一人いればいい。≫


ぐおおおおおおおお。
やはりタダモノじゃねえな、角川春樹
今後のアンタの活躍ぶり(=キレっぷり)が楽しみだ。


唯我独尊、マッチョな角川。
女々しいがゆえに、
あえて苛烈な生き方を選ぶ見城。

どっちも魅力的だ。
願わくば。
これなるちっぽけな魔女も。
生涯不良!
24時間不良!

を旗印に精進(?)を重ねる所存でございます。


画像は恒例、食品サンプル・シリーズ。
題して「すっくと立つパフェ」。
かくありたいと願うものでありんす。