thousand angels

jazzydays2007-04-15

千の天使。
と聞いただけで、
ピンとくるアナタは御同輩。
身に覚えがありますな。
天使たちとのランデブー。
何度繰り返しても、
ちっとも学習できないよねぇ。
困ったもんだ。
以下、中原中也の詩
『宿酔(ふつかよひ)』より。


≪朝、鈍い日が照つてて
 風がある。
 千の天使が
 バスケットボールする。


 私は目をつむる、
 かなしい酔ひだ。
 もう不用になつたストーヴが
 白つぽく銹(さ)びてゐる。


 朝、鈍い日が照つてて
 風がある。
 千の天使が
 バスケットボールする。≫


中原中也詩集 (新潮文庫)

中原中也詩集 (新潮文庫)


アタマの中で千の天使が
声高に、てんでに、
わめきちらし、
暴れ騒ぎ、
どたばたコートを走り回り、
バスケットボール中。
はぁぁぁあぁぁぁあぁあ。
想像するだに頭痛。


えーっと。
今、コレを書いてる時点では。
いたってシラフでございますが。
最近とみに。
酒に弱くなりやした。
(別称「エコノミー」とも。)
おそらくは。
昨秋から服用しだした薬との相性かと。
喜ばしいことじゃねえか。
しかし。
それに気づくまでがツラかった。
若かりし頃と変わらぬ酒量を消費しては、
翌日、大後悔することの繰り返し。


ようやく。
左脳を眠らせつつ、
右脳だけを作動させる術を獲得。

それがLIVEを聴いてる時の
正しい飲み方&酔い方ね。
そうそう。
上記の詩も痛いトコロを突いてくれるが、
ヒキタクニオも負けちゃいない。
以下、『凶気の桜』より抜粋。


≪市川の頭蓋の中でアセトアルデヒドのトゲが
 血管を刺しながらゆっくりと移動していた。
 (中略)
 枕と頭が接着剤で貼り付けられたように動かない。
 つけっぱなしのエアコンは体中の水分を奪い、
 特に喉は絞った雑巾を天日に干して
 かちかちになったものを
 突っ込まれたかのようだった。

 カーテンを引き忘れた窓からは
 昇りきった太陽の光が無数の針のように突き刺さり、
 まぶたの裏を橙色に染めていた。
 (中略)
 「息も絶え絶えだな。二日酔いか?」
 三郎がコンビニの袋をカサカサと鳴らし入ってきた。
 市川は三郎の後をよたよたと歩きベッドにまた突っ伏した。
 ベッドのスプリングの軋みが
 ストレートに後頭部に伝わる。
 声にならないうめきが漏れる。
 「ほれ、ほれ、ほれ」
 三郎はうれしそうにベッドを揺する。
 市川は頭を抱え込みながら唸った。
 「ほら、飲みな」
 市川はペットボトルのキャップを勢いよく開け
 スポーツ飲料にかぶりついた。
 ガブリと飲んだ一口は喉と口の粘膜に吸収され
 胃に流れ込まなかった。
 それほど市川は渇いていた。
 二口目からはゴクンゴクンと喉を鳴らし流し込む。
 チンチンに焼けた鍋に水が注がれる
 ジュワジュワという音が胃の中で
 鳴り響いているようだった。


凶気の桜 (新潮文庫)

凶気の桜 (新潮文庫)


ぐあああああ。
読んでるだけで、
あの悪夢のごときシチュエーションが
浮かんできませんか。


それはさておき。
凶気の桜』は名作じゃないけど佳作だよ。
セーシュンの青臭さ、生臭さプンプン。
かつて。
街宣車に乗って渋谷駅頭で
演説ブッてた私にとっちゃ、
チンケな話だけどな。
ピアニスト福田重男が得意とする
ジャズのスタンダードナンバー、
「Blame it on My Youth」が思い浮かぶ。
福田訳=「若気の至り」。
けだし、名訳だと思うものでありんす。
画像はあまりに有名と言えば有名、
ラファエロの天使@ドレスデン国立美術館