ウェブの行方

jazzydays2007-01-19

昨日の応急手当のおかげで、
風邪は悪化せずにすんだが、
アタマのコンディションが
めっぽう悪い。
晩飯も食わずに、
ふだんより薬を
ちょっぴり overdose し、
早々と寝床にダウン。
画像は本日のイメージ。


が!
ゴロ寝(=フテ寝)しつつ、
1冊の本を読み始めたら、
ガゼン!元気が出てきた。
読み終わる頃には、
冷凍庫をゴソゴソ漁り、
宇治抹茶アイス」を完食!
という復活ぶり。


クスリよりも効いた、
その本とは。
梅田望夫平野啓一郎、異分野の逸材二名による対談、
ウェブ人間論』(2006、新潮新書)。


ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)


梅田氏は1960年生まれ。
私が利用しているブログ、
はてなダイアリー」を運営する
(株)はてなの取締役。
昨年ここでも紹介したベストセラー、
ウェブ進化論』(2006、ちくま新書)の著者である。
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20060830
(http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20060913)
平野氏は1975年生まれ。
1999年『日蝕』にて芥川賞を受賞した気鋭の作家。
両者の年齢差は15年。


オプティミスト梅田 vs ペシミスト平野。
丁々発止の議論は非常にエキサイティング。
読んでいて、まるで自分もその場に
居合わせているかのような、
ワクワク感を味わえる。
どこをめくっても、
知的刺激に満ち満ちており、
全ページに付箋をつけたいくらい。
印象的な箇所をいくつか抜粋しよう。


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梅田「世界の結び目を、
  自動生成する機械
なんですね、
   検索エンジンは。」


平野「インターネットによってグローバリゼーションが
   進むとよく言われますが、一面では逆に
   一人の人間のナショナリティ
  強化される方向に向かうのではないか

   と思ったことがあるんです。
   パリにいた時、向こうにいても
   ヤフーのニュース動画とかネット版の新聞のおかげで、
   日本で今何が起こっているかというのを、
   リアルタイムで簡単に知ることができたんですね。
   でも何十年も昔に留学などでパリに行った人は、
   日本だけで共有されている体験から否応なく切断される分、
   フランス社会との同化のスピードが
   早かったんじゃないかという気がします。」


平野「(生体認証とは)現代人の非常に複雑になった
   アイデンティティの統一性を確保するための
   最終手段だという感じがします。
   個人情報はもちろんですけど、
   もうそれだけでは追いつかなくて、
   「平野啓一郎は、平野啓一郎だ」という自明のことを
   最後に確証するのは、やっぱり身体の同一性なんですね。」


梅田「インターネットって中央に集中した権力はない、
   というのが(グーグルの)成り立ちの思想としてある。
   (中略)
   誰か一人がコントロールすることはできない。
   情報は占有じゃなく、全部共有されているから
   インターネットは動くという仕組みです。
   さらに分散の思想っていうのが最初からあって、 
   中央集権ではない。
   もともとアメリカが攻撃された時に、
   それでも動くネットワークっていう思想で出来ているから、
   攻撃対象としての中央が存在しないっていうことが
   ものすごく大事なんですよね。」


平野「確かに人類の歴史上、個人の手許にある情報が
   こんなに膨大だったことはないですからね。」
梅田「そう、何かをダウンロードするとか、
   このPCの中に入れなきゃとかいう感覚も、
   薄れていきます。(中略)
   自分のところにわざわざ持たない、
   私有しない。


平野「この対談のテーマの一つとして僕が拘ったことなんですが、
   結局、身体性から切り離されたところで、
   あらゆる人間が活発に活動するようになったというのが、
   ウェブ登場による一番の変化なんだと思います。
   (中略)
   人間の変容という観点に絞ってみれば、
   やっぱり多くの人が自分で自分を
   言語化してゆくようになった、
   というのが圧倒的に大きいでしょうね。」


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いやあ。
めったやたらと面白い。
こんなに元気になれる本、なかなかないよ。
読むなら今が旬。
来年の今頃には、きっと古びちゃう内容だから。