安息の日々

「安息の日々」というタイトルを耳にして即、
♪ Easy livin' and
I've been forgiven〜♪

と、思わずサビ部分を歌い出してしまう人は、
それなりの御年配、いや相当なロック好き。
さよう。
英国70年代初頭に活躍したバンド、
ユーライア・ヒープの大ヒット曲にございます。
(1972年発売のアルバム『Demons and Wizards』所収)



原題「Easy Livin'」=「安息の日々」とは、
一度、聞いたら忘れられない名訳ではありませんか。
それこそ、現在の私が求めてやまないモノよ。
アルバム・タイトルのほうは、
何のヒネリもなく『悪魔と魔法使い』
とモロ直訳されてるのがイマイチだけど。


このバンドがブレイクした前作、
『Look At Yourself』を『対自核』と訳したセンスも、
日本における海外ロック紹介史に
燦然とキラめく金字塔じゃなかろうか。


対自核(紙ジャケット仕様)

対自核(紙ジャケット仕様)


だってさ。
原題は単に「テメエ自身を見な」
って言ってるだけなんだぜ。
それが。いきなり哲学風味。
ただ、アルバム中の
「What Should Be Done」=「当為」ってのはねぇ。
やりすぎじゃねーの。


まあ、それは置いといて。
ユーライア・ヒープ
実にイイのよ。
ここ数日、めっきり、すっかり
Going back to '70's!
しちゃってる私の耳には。
華麗で重層的なコーラス、メタルなフレーバー、
幻想的でオカルティックな歌詞。
クイーンなんて目じゃねえよ。
いや、別にクイーンが嫌いってワケじゃないが。
ヤツらには不良の匂いが希薄なのだ。
いかにフレディ・マーキュリーがAIDSでこの世を去ろうと、
どっこい生きてるエアロスミスやKISSのほうが、
よっぽど不良な空気をまき散らしてるじゃん。


ユーライア・ヒープに話を戻そう。
'70年代初期に、ここまでロックの手法が
やり尽くされていた事実を確認してしまうと、
後にパンクが登場し、セックス・ピストルズ
ジョニー・ロットン(現ジョン・ライドン)が
「ロックは死んだ」と唾を吐いたのも、
至極ごもっとも、とうなずける。


さて。このユーライア・ヒープUriah Heep)
という妙ちきりんな名前。
私が大好きな作家、チャールズ・ディケンズ
代表作『David Copperfield』に出てくる、
メッチャクチャ嫌な野郎のフルネームを
まんまバンド名にしちゃってるのが
私のヒネクレ心を刺激してくれる。


そんなこんなで。
アタマの中は70年代ブッチ切り状態なまま、
明晩はジャズな世界に舞い戻るのである。
何ヶ月ぶりかで Body & Soul へ赴き、
某ピアノトリオを聴く予定。
もちろん、毎度のごとくカウンターで暴走します。
明後日、再び寝込むことになろうとね。