JAZZ LEGENDS

JAZZ LEGENDS〜60 years of jazz』
(フランク・アルカイヤー編、2006年、
シンコーミュージック・エンタテイメント)を読む。


JAZZ LEGENDS―ダウン・ビート・アンソロジー

JAZZ LEGENDS―ダウン・ビート・アンソロジー


米国の老舗ジャズ専門誌『DOWN BEAT』60年以上の歴史から、
おいしい記事を抜き出してまとめたアンソロジー
スウィング全盛の1930年代から1990年代初頭まで、
多彩なジャズ・ミュージシャンとの
インタビューがてんこ盛り。
印象的な箇所をちょこっと抜粋してみよう。


*****************************


≪私は自分が歌ってるとは思ってないの。自分では
ホーンをプレイしているような感覚なのよ。
レスター・ヤングルイ・アームストロングや、
そういう自分が尊敬している人たちみたいに
即興で演奏してるつもりなの。
私がどう感じてるかがそのまま歌に出てるのよ。
ストレートに歌うのは好きじゃないわ。
自分自身に合うように、やりたいように歌を
アレンジしていかなくちゃ気が済まないのよ。
私の頭にあるのはそれだけ。≫
ビリー・ホリデイ、1939年11月1日号)


≪「こちらに一人の男がやって来たとします」、我々は言った。
「彼はこう訊いてきました。『俺いま4ドル持ってて、
それで3枚チャーリー・パーカーのレコードを
買いたいと思ってるんだけど、どれがいいかな?』
我々は何と答えればいいでしょう?」
チャーリーは笑って答えた。
その金は遣わずに
取っときなって言いなよ
」 ≫
チャーリー・パーカー、1949年9月9日号)


≪左翼の精神性ってのはいわゆる
『俺たちは世界を焼き尽くしたいんだ.....
そして全てをリセットし、自然へ回帰するんだ』ってやつさ。
連中の信念の基盤はマルクス主義
毛沢東思想から適当に抽出してきた言葉や、
授業で読まされた陳腐な常套句だ。
あいつらはそれが庶民を解放する革命を
決行するための論拠になると思ってるんだぜ。
しかもそう言いながら奴らは
庶民のことなんか何も知らないんだ。
みんなモッズ・ファッションに身を固めてるか、
チェ・ゲバラのカーキ色の服を着込んでるかの
どっちかさ。所詮は......ゲームなんだよ。≫
フランク・ザッパ、1969年10月3日号)


≪どうして彼ら(メディア)がジャズを
支援してくれないのか僕には全く分からないよ。
ジャズでだって金儲けが出来るはずなのにね。
(中略)
だってさ、ニューヨーク・フィルハーモニック
従えたレナード・バーンスタインが子供たち相手に
解説をするコンサートなんてのは
何度も中継されてるんだよ。いいかい、
これ(ジャズ)はアメリカで
正真正銘僕らのだといえる
唯一のものなんだよ
。≫
リー・モーガン、1970年2月9日号)


音楽が人に果たす役割って、
天気が人に及ぼす影響に
通じるところがあると思うんだ

(中略)
殆どの人たちは、僕が思うに、
朝起きて窓の外の様子を見た時に
どういう状況かによってかなり生活態度が
左右されるみたいなんだ----
(中略)
僕らの音楽を聴いた人たちにも、
きっと何かしら頭の中にかき立てられる
イメージがあるはずなんだよ。≫
ウェザー・リポートのキーボード奏者
ジョー・ザヴィヌル、1971年5月27日号)


≪ライヴで大事なのは音楽だけで、
オーディエンスがどうあれ関係ないと思ってる
ジャズ・ミュージシャンもいるみたいだね。
でも僕はオーディエンスは
100%関係してると思ってるよ

満員の客席を望まないパフォーマーはいないさ。
エンターテインメント性を追求することは
間違いだって人たちもいるけど、
(中略)
僕はそのことを認めるのを
恥ずかしいなんて思わないよ。≫
(ハリー・コニックJr.、1990年3月号)


*****************************


いずれも名言揃い。
しっかし、この本。
高い!デカイ!重い!
いかに資料的価値が大きいとは言え、税抜き4600円とはねぇ。
手首が疲れるし、寝床に転がって読めないじゃねーの。
さらに。
訳者の"まえがき"も"あとがき"もないのは
一体どういうワケ?
アンタら、この大著を世に送り出す
思い入れってヤツがないのかよ。
まあいいけどさ。内容は確かに濃いから。