モダン・ジャズのいわゆる"名盤"の多くは
LP時代に世に送り出されている。
収録時間がせいぜい40分程度に限られていた時代。
当時のミュージシャンは、
曲順や収録曲の選択に、どれほど頭を悩ませたことだろう。
それがCD時代に入り、70分近くまで録音可能時間が延びた。
これは現代を生きるミュージシャンには、
至極当然のことであり、
アルバムのコンセプトも、
CDというメディアに合わせてアイデアを練るはずだ。
が。CDの出現を待たずに、
彼岸へ旅立ってしまった者たちは、
己が残したアルバムを後世の人間たちが、
勝手に変更・改竄していることを、
草葉の陰で、どう感じていることか。
ここに1枚のCDがある。
あまりと言えば、あまりに有名な
Bill Evansの『Waltz for Debby』。
曲順を羅列してみよう。
- アーティスト: Bill Evans,Scott LaFaro
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 1990/10/17
- メディア: CD
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1. My Foolish Heart
2. Waltz for Debby [Take 2]
3. Waltz for Debby [Take 1]
4. Detour Ahead [Take 2]
5. Detour Ahead [Take 1]
6. My Romance [Take 1]
7. My Romance [Take 2]
8. Some Other Time
9. Milestones
10. Porgy (I Loves You, Porgy)
一体、何なんですか、これは!
と、声を大にして言いたい。
いかに収録時間が増えたとは言え、
余計なオマケは要らないんだよ!
「Take○」とか「bonus track」とか
「alternate take」とか
「not part of original LP」などと
但し書きされた曲ってのは、
早い話がボツ・テイクってことだろ!
ボツにはボツになるだけの
理由があんだよ。
出来の悪いモノをサンドイッチみたいに、
オリジナルの中に挟みこむんじゃねーよ。
中には上記のようなケースをさけるべく、
アルバムの最後にボーナス・トラックをまとめて
入れてる場合もあるが。
これまた、要らねーんだよ!
当時のミュージシャンが曲順を悩みに悩み、
最後はコレで締めくくろう!と決断した、
その意志=遺志を
踏みにじるんじゃねーよ。
作品としてのコンセプトが
台無しになると思わんのか。
たとえ70分録音可能であっても、
オリジナル・アルバムが40分で完成しているなら、
それは、そのまま尊重すべきである。
余った時間をオマケで埋めようっていう、
その根性がセコイんだよ。
頼んでもいないオマケなんぞを入れるかわりに、
値段を安くしたらどうかね。
どうしても、ボツ・テイクを聴いてみたいという
マニアに対しては「ボツ・テイク集」を
新たに編纂すりゃあいいだろうが。
(事実、この私も、その手のシロモノを持っていたりする。)
まあ。何はともあれ。
ジャズはLIVE、これにつきる。
あの世のミュージシャンに接するには、
音楽媒体を用いる他ないけどな。