うるさい!

私は電話が嫌いである。
かかってくるのも、かけるのも。
そのくせ、我ながら応対は非常に明るくハキハキしている。
(初めての就職先が某大手書店だった頃の名残り。)
が。嫌いといったら嫌い。
相手の都合も状況もおかまいなしに、
土足で生活の中に踏み込んでくる、けしからん輩である。
だから、自分がかけるのも躊躇する。
こんな私でも一応、携帯電話とやらを所持しているが、
あくまでも緊急の連絡用。
カメラもついていなけりゃ、メールもめったに打たない。


自宅にかかってくる電話のほとんどは身内宛て、
もしくはセールスに決まっているので、
リ〜ンと鳴ると、まずは
うるさいっ!!!
と一喝するのが毎度の儀礼となっている。


さて。
「うるさい」と言えば。
あの"闘う哲学者"中島義道氏のベストセラー、
『うるさい日本の私』が思い浮かぶ人も少なくないだろう。


うるさい日本の私 (新潮文庫)

うるさい日本の私 (新潮文庫)


私は中島氏の著書の愛読者である。
彼の理不尽なまでに激しい怒り。
狂気スレスレの奮闘ぶり。
騒音に限らず、中島氏の怒りの対象となるモノは跡を絶たない。
個人的には『ぐれる!』が彼の最高傑作だと思う。


ぐれる! (新潮新書)

ぐれる! (新潮新書)


コレを読んでゲラゲラ笑いつつ、
「うんうん」と、うなずける人となら、
私は無条件で友達になれるであろう。


もちろん数多いエッセイ中には駄作も少なからずある。
ヒルを気取ったつもりで、女々しい自己憐憫に陥ったり、
瑣末な問題を、無理やり自らの土俵である
ドイツ哲学に引き込もうとしたり。
でもね。その痛々しいまでの奮戦ぶりが泣かせるのよ。
よしみっちゃん。
(私は彼をこう呼んでいる。中島ファンならご理解下さるはず。)
怒りなさい、怒りなさい、
もっともっと怒りなさい。

私は味方だから。
貴方の言ってることに全部が全部共感するワケじゃないけど、
とりあえず味方だから。


というわけで。
アタクシに愛の告白やデートのお誘いを計画中の方は、
電話じゃなくって、面と向かってそうしてね。
その勇気がないなら、携帯じゃなくて
PC宛てにメールをちょうだいね。




商品無料仕入戦隊『電脳卸』