昔々の話。
今はこの世にいない男から電話で告白された時のこと。
私は彼の"本気度"を確かめたくて、冗談半分に言ってみた。
「アタシ、背中に倶梨伽羅紋紋しょってんだ。」
電話の向こうで、しばしの沈黙。
やがて。
「........それでもいいよ。」
と彼は言った。
2年になるか、ならないかのつき合いだった。
が、十分に濃かった。
彼が自ら命を絶ったのは昨年の秋。
残念ながら、私の背中に倶梨伽羅紋紋はないけれど、
胸の内には、しっかりと刻んでいるつもりである。
(下記は敬愛する切通理作さんの近著『失恋論』。
夜、寝床で読み始めたら、そのまま朝を迎えていた。)
- 作者: 切通理作
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
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