パトロンの掟

うら若き頃。
大英博物館を初めて訪れた際、
その膨大な所蔵品に
圧倒されるよりも、
それらが世界のあちこちから
強奪されてきた事実に
腹立ちを抑えられなんだ。
元々あった場所で
人々の目にふれることこそ
重要なのではないか、と。
が。
紛争やテロの絶えぬ土地柄の場合、
貴重な人類の遺産が
ダメージを受けるのみならず、
灰塵に帰してしまう
ケースも多々ある。
ならば。
比較的安全な場所で
保管されるほうがいいのか。
複雑な問題である。


昨日は上野。
国立西洋美術館にて
松方コレクション展。
今年60周年を迎えた
この美術館の根幹をなす
作品の数々が一堂に会する
贅沢かつ濃厚な展示につき、
平日にもかかわらず
会場は大盛況。


うむ。
やっぱ。
金持ちは芸術の
パトロンたるべし、
との思いを新たにさせられた。
バブル期はクラシック系で
企業の冠コンサートが
結構あったよな。
ZOZOの前澤さんや
テスラのマスクさんは
好きでも何でもないけれど、
バンバン絵を買ってイイと思うし、
月へでもドコへでも
行ったらよかろう。


貯めこんだり、
投資するばかりが能じゃないはず。
せいぜいロマンのある散財を
してもらいたいもんだ。
そして。
得たお宝は広く民草と
わかちあう。
それでこそのパトロンよの。