初めて井上荒野の小説を読む。
「だれかの木琴」。
何不自由ない平凡な主婦が
ふとしたキッカケで
ストーカーと化していく
過程がリアルに
つぶさに語られる。
彼女の標的は美容師。
最初は指名を
繰り返すだけだったのが、
彼への執着は単なる
好意を超え、
恋心さえも超え、
徐々に常軌を逸したものに...。
- 作者: 井上荒野
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/02/06
- メディア: 文庫
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誰でも一人や二人は
なじみの店に
気に入ったスタッフが
いるだろう。
それが決してストーカー行為に
結びつかないという保証は
あるだろうか。
日常が非日常へと歪んでいく
プロセスがヒタヒタ怖い。
この作品は映画化され、
現在上映中なのだが、
近くに劇場がないため、
とりあえず原作を
読んでみたところ、
見事にハマってしまった。
心理サスペンスとしても、
ホームドラマとしても、
上質の逸品である。
これを機に井上荒野を
もっと読み込もうと思う。