さらば至宝

jazzydays2016-05-12

いつかは。
この報を聞く日が
来るだろうと思っていたが、
ついに来てしまった。
演出家・蜷川幸雄 逝く。
これで。
片道2時間かけて与野本町
(彩の国さいたま芸術劇場)まで
足を運ぶ理由は失われた。
振り返れば。
不肖キツネが子供の頃、
彼はドラマのチョイ役を
こなす程度の大根役者だったっけ。


それが。
演出家という天職を得てからの
世界的な躍進ぶり。
とりわけ。
シェイクスピアに関しては
比類なき独創性と
天才性を発揮した。
彼の手がける舞台を見るたび、
したたかに殴られたような
気分を味わい、
放心状態に陥ったものだ。


あれほど暴力的かつ
優雅な解釈をする演出家は
もう出てこないだろう。
まさしく。
日本が世界に誇る至宝であった。
シェイクスピア没後400年という
節目の年に蜷川が召されたのは
決して偶然ではあるまい。
合掌。