鴨居玲クロニクル

jazzydays2015-07-30

鴨居玲の展覧会には2回赴いた。
初回および代表作については↓。
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20150610
2回目は伝記・写真集はじめ、
現時点で入手or閲覧可能な
鴨居関連書籍のほとんどに
目を通した後。
正直、初回の衝撃は薄れた。
が。
旧友の自宅に招かれたような
感覚を味わった。


踊り候え

踊り候え


鴨居自身によるエッセイ集。
ユーモアあふれる筆致。
ただ。
ウケ狙いのために
往々にして話を「盛る」
傾向があったという彼。
全部は鵜呑みにできないものの、
やはり楽しい。
これが自殺した画家の文章?
と思うこと必至。


一期は夢よ 鴨居玲

一期は夢よ 鴨居玲

回想の鴨居玲―「昭和」を生き抜いた画家

回想の鴨居玲―「昭和」を生き抜いた画家


生前、鴨居と交流があった
男たちによる伝記。
正直つまらん。
事実関係を確認する
情報源としての価値はあろう。


哀しき道化師 鴨居玲の絵画と生の軌跡

哀しき道化師 鴨居玲の絵画と生の軌跡


鴨居の死後、
彼の魅力に取り憑かれた女性による
渾身の研究論文。
すでにこの世にいない人への
ラブレターと言ってもよいほどの
深い打ち込みように打たれる。
作品を読み解く洞察力は圧巻。


鴨居玲 死を見つめる男

鴨居玲 死を見つめる男


鴨居に関する書籍としては最新作。
生前の画家にずっと
寄り添い続けた画商の視点から
描かれた極めて
ヴィヴィッドな鴨居像である。
複数回、読み返しても
なお輝きを失わない逸品。



鴨居のパートナーであった
写真家によるポートレイト集。
入手困難だったが、
何とかして手に入れた。
(高かった!)
画家の写真集なんぞ
買うのは今回が初めてである。
別段。
彼のルックスに惚れたワケでも
何でもない。
ただただ。
その創作の現場、
素顔の表情を
垣間見たかったがゆえ。


ともかくも。
鴨居玲は画家であった。
生き様がどうこう言う前に、
その真骨頂は作品を
見る他はない。
不肖キツネ、
これほど一人の画家に
引きつけられるのは
ロンドンまで回顧展を見に行った
あのジョン・マーティン、
そして牧野邦夫以来。
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20130605
没後三十年にして
初めてこの画家に
引き合わされた幸運を
かみしめるものである。