★キリ番★2000★

jazzydays2012-08-11

アルチュール・ランボー
道連れに灼熱の砂漠
(という名の中空)を
彷徨しておったら
いつの間にか
3日も経過していた。
今回をもちまして当ブログ、
通算2000回を迎えました。
05年夏より始めて丸7年。
長年の御愛読まことに
ありがとうございます。


1999回目の後、
しばらく書かなかった、
いや書けなかった理由は。
まず。
8月9日をキリ番祝いの日には
どうしてもできなかった。
そして。
ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ師の
遺言が着々(?)と現実化し、
あまりの無力感・脱力感から
動けなくなっちまったんである。
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20120801


半物質の砂漠で
蜃気楼の向こうにかすむ
日本国を眺めながら
暗然・忸怩たる思いに
とらわれずにはおられなんだ。
隣近所から敷地内に
一度や二度ならず、
何度も何度も土足で踏み込まれて
どうすることもできない国。
国のために闘って
命を落とした人々の魂を
堂々とお祀りし、
お慰めすることすら
隣近所を憚ってできない国。


≪今やオレは呪われている。
 オレは母国を嫌悪する。
 最善策はと言えば、
 泥酔してどこぞの砂浜で
 眠りこけることだな。≫
      from 「悪い血」by ランボー


不肖キツネ、
生まれてこのかたずっと
「水星の申し子」を
自認してまいりました。
これは天界より下されし
ある種の義務と心得ております。
自我膨張の妄言ではございません。
当ブログを長らく御愛読下さっている方、
およびリアルの私を知る方は
否定なさいますまい。
地・水・火・風、
四大元素のうち
およそ「風」的なるもの、
すなわち「水星」を媒介とする
事柄一切にかくも固執する己に
我ながら驚きを禁じ得ないのであります。
ことこの点に関しましては
天才と自負しております。


しかし。
あれほどの虚無と絶望に
たった18かそこいらで
達してしまったランボーに比べりゃあ
このトシになって
ようやく諦念した私など
まっこと笑止なまでに
凡人でありますな。


≪朝、オレの目があまりに虚ろで
 顔つきにも生気がないもんだから
 オレが出会った者たちには
 たぶんオレが見えなかったのだろう。≫
      from 「悪い血」by ランボー


見えもしなけりゃ
聞こえもしない。
古ギツネの無駄吠えは
空しく虚空に消えゆくばかり。
騒音いや雑音にすらならぬのだ。
いくら天界が「水星」と「風」の
力を与えてくれようと、
理解され共有され活用されねば
何の意味もない。
繭玉を作ろうぞ。
生命維持装置つき、
上等な繭玉じゃ。


右上の画像はイギリスの画家
ジョージ・フレデリック・ワッツの
「希望 (Hope)」。
地球(?)とおぼしき球体の上で
目隠しをした娘が
琴の音に耳を傾けているようだが、
よく見れば弦は
たった1本しかなく、
それは彼女の髪の一部のようにも見える。
(細部の確認にはGoogle Art Projectが便利)。
作品のトーンは「希望」という
タイトルにもかかわらず物哀しい。
むしろ「鎮魂」っぽいムードが漂う。
所蔵館は私が愛してやまぬ
ロンドンのテート・ブリテンである。
同館からもう1枚。
ヘンリー・ウォリスの
「チャタートン (Chatterton)」を
沈みゆく日本丸に捧げよう。



孤高の天才贋作詩人、
トーマス・チャタートンは
わずか17歳で
砒素をあおぎ自殺した。
そのいきさつを知らず
この絵を見た時には
眠れる一角獣美少年の図かと
思ったっけよ。
頭の上部に角があるように
見えませんかい。


≪オレは自然とやらを理解してるのか?
 オレにはオレ自身がわかってるのか?
 言葉なんぞ役立たずだ。
 オレは腹の中に死者たちを
 埋葬してるんだ。
 叫び、ドラム、
 ダンス、ダンス、ダンス、ダンス!
 ----------
 飢え、渇き、叫び、
 ダンス、ダンス、ダンス、ダンス!≫
      from 「悪い血」by ランボー


文中のランボー作品は
すべて不肖キツネによる
英訳経由の試訳=Punky Fox Version。
邦訳詩集は数え切れないほど
出ているようだが、
最新刊の下記2種は
ビートでパンクでロケンローな
悪ガキ・ランボー
素顔を彷彿とさせて小気味よい。


ランボー全詩集 (河出文庫)

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ランボー全集 個人新訳

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