長い長い長い旅を終えた気分。
文庫本にして
厚さ約2センチ×全4巻を
読了した今。
熱く厳かな感動に
全身が包まれている。
マリオン・ジマー・ブラッドリー著、
「アヴァロンの霧」シリーズ。
(残念ながら現在 邦訳は絶版)。
http://goo.gl/amrq
アーサー王伝説を題材にした
文学作品はあまた存在するが。
伝説のエッセンスを損ねることなく、
ここまで現代的に解釈し直し、
なおかつ物語としての感動を
よりいっそう深めた手腕は
驚嘆に値する。
なぜもっと前に
読まなかったのかと悔やまれる。
http://goo.gl/HOpi
平塚らいてうの言を待つまでもなく。
元始、女性は太陽であり、
地母神であった。
生命の源泉であった。
まばゆいほどの
エネルギーの発露を
切支丹がいかに奪い、
いかに根絶やしにしていったか。
その過程がダイナミックかつスリリングな
ファンタジーの形式をもって
ぐいぐい読者に迫りくる。
圧巻。
本作品を読んで
あらためて深く感じ入る。
天照大神を祖神とする
我が国の神話体系は
何とのびのび豊穣であることか。
そうよ女はみんな女神。
- 作者: ジーン・シノダボーレン,村本詔司,村本邦子
- 出版社/メーカー: 新水社
- 発売日: 1991/01
- メディア: 単行本
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時に厳粛、
時に放埓、
途方もなく崇高でありながら、
同時にとことんえげつない。
その相反性こそが
我々の根っこ。
切支丹に蹂躙されてしまった
西欧がようやく20世紀末になって
たどりついたある種の境地を目にして
(著者は米国人女性、舞台は6世紀ブリテン)
この国に生まれた
幸いをかみしめる。
アーサー王伝説に格別な関心がない人でも
必ずや深い感銘を受けるだろう。
宗教学・民族学・民俗学・
文化人類学・フェミニズム・
大河小説・幻想小説・歴史小説etc.、
まさに。
ジャンルを超えた20世紀の大傑作。