立春を迎えたとたん、
いきなり寒い。
それでも。
ちゃーんと梅が咲いてる。
律儀だぜ!
さて。
自ら禅を実践し、
心霊研究にも詳しい
作家・三浦清宏は
若かりし頃、こんな体験をしている。
留学先アメリカの大学での
「英雄」トリップ!
≪私は毎日のように、
ベートーベンの第三シンフォニーを、
「英雄」という名前にひかれまして、
聴いていたわけです。
聴き始めるとすぐ眠くなるんです。
これはいかん、
何とか 起きていなければ
ならないというので、
一計を案じまして、ノートをとることにして、
何でもいいからとにかく自分の印象を、
記号でも何でもいいから
書いていこうというわけで、
キラキラしているところは
星のような記号を書いたり、
流れるようなのは川のような
記号を書いたりしまして、
音符などはわかりませんから、
そうやって眠気を払いながら
聴いていたわけです。
それが一日たち、二日たち、
何の変化も起こらない。≫
んもう。
三浦さんったら。
音楽は苦行じゃないんだからさあ。
クラシックって
もっとエロくて
えげつないもんだわよ。
エロイカ(英雄)ってぐらいだし。
と。
ツッコミたくなる一節である。
が!
≪ああ俺はやはり音楽というのは
分からないんだなと思って、
もうやめようと思いまして、
ノートを放ったらかして
ウトウトとしていたんです。
そしたら、急に様子が変わって、
音楽が自分の体の中に川のように流れ込んできた。
これはどうにも止めようがないんです。
音楽が流れ込んできて、
自分を流すんです。
その上に自分は浮かんで、
音楽の鳴るのに従って、
浮かんだり、沈んだりするんです。
周りは真っ暗です。
真っ暗闇の中にいろんな光が見えたり、
光が見えたりと言ったらおかしいけれども、
宇宙のような空間に何か
キラキラするようなものが見えた。
自分は、そこの流れから
降りたいと思っても降りられない。
そういった体験をいたしました。≫
うんうん、
来たんだわねアレが。
そうよそうなのよ!
≪そのときに、その音楽がすっかり
分かったような気になったわけです。
もちろん分かってないのでしょうけれども、
とにかく気分的に、感情的に、
すっかり分かったような気になった。≫
わかる・わからない
じゃないんだってば三浦さん。
素直に「飛ぶ」。
それだけでオッケー。
気持ちよかったでしょ〜?
≪これは誰にでもできることで、
LSDをやらなければできないとか、
超能力を持たないとできない
ということではなくて、
たいていの人なら
達することのできることです。
私のように、音楽のことが
あまりわからない人間でも
そういうことができた。≫
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ここ十五年あまり、
私があちらこちらの
コンサートホールや
ジャズクラブや
ライブハウスで
浸ってきたのは
結局それだった。
ナマの音楽が持つ魔力に
淫していた、
アディクトだった、
と言い換えてもいい。
しかし。
ひょっとしたら。
一個の人間が
一生に聴ける音楽の
絶対量ってのは
決まってるんじゃなかろうか。
だとしたら。
フツーに比べて
明らかに「度を越した」量を
聴いてきた自覚のある我が身。
もはやその限界に
達してしまったのでは
ないだろうか。
今現在、
ナマ音も録音も
すすんで聴けずにいる状態(=小休止中)
ってのは。