「嵐が丘」へ 1

jazzydays2008-08-18

初めての就職先をやめてから、
私は一人で二ヶ月間、
イギリスに滞在した。
二十代前半の頃だ。
ロンドンの大英博物館
ほど近いYWCA
(現 Bloomsbury Hotel
を拠点にして
http://londonhotels.jurysdoyle.com/greatrussell_london
国内のあちらこちらに足を延ばした。


その折、かねてより宿願だった
ブロンテ姉妹の生まれ故郷、
嵐が丘」の舞台、
ヨークシャーのハワースを訪ねたのだが、
かなりハードな旅だった。


もう一度、行きたいか?
と聞かれたら。
正直、迷う。
現在の私にとっては、
体力的にも
精神的にも
結構、厳しい。
だが。
よほど私とスピリットが
似通っている人間が
同行してくれれば、
ぜひ再訪したい。
できうることなら。
今生のうちにな。


以下、当時の日記を
ほぼ原文そのまま引用するが、
現地を訪ねてから
相当長い年月が流れているため、
交通手段や到達までのルート、
および所要時間は
変更されている可能性あり。


当時はインターネットなんざ、
存在しなかったからな。
トーマス・クック(時刻表)と
「どうしても行ってやる!」
という強い意志だけが頼り。
本気で行こうと
考えてる人は(それもたった一人で)、
事前によくよく
情報を収集して下され。


それでは、
若かりし頃の
keiko と一緒に
いざ「嵐が丘」へ!


***********************


[19××年10月19日]


ついにハワースへやって来た。
身がちぎれるほど寒いだろうと思って、
ジーンズの下にストッキング&ハイソックス。
Tシャツ、ネルシャツ、セーター、ジャケット、
と完全防備で来たのだが、
そうでもなかった。
でも、明日 moor(湿地帯)に
行ってみなければわからない。


ロンドンのキングズ・クロス駅から
リーズ駅まで2時間半くらい。
そこから乗り換えて Keighly
(キースリーorキーリーと発音)。
予定では Keighly から
Keighly & Worth Valley Railway
というローカル線に乗るはずだったのに、
何と! 
夏以外は週末と祭日しか動いていない!
しばらく駅で途方に暮れたが、
Town Centre まで出て
バス・ターミナルを見つけ、
どうにかやって来れた。


バスを待つ間、スーパーで
食料を買い込んだ。
こっちのバスはアナウンスがないし、
バス停に地名も書いてないから、
運転手さんに
「着いたら教えてね」
と頼むしかない。
今日も、その手で無事に 
Haworth Bridge House で降りた。


着いたのが17時だったので、
Tourist Information は
もう閉まってるかな、と思ったら
幸運にも開いていたので
B&B (Bed & Breakfast, 朝食付きの民宿)の
予約を取ってもらった。


Mrs. Read がやっている
Roos Cottage というB&B で、
なかなか感じのよい
おかみさんが紅茶を出してくれた。
疲れていたので、すごくおいしかった!
ここにはネコがいて、
私にすり寄って来る。かわゆい!


「あなたネコ飼ってるの?」
おかみさんが聞くので、
「ううん、でもイヌを飼ってる」
と答えると、
「でしょう!
 この子は誰にでもそんなふうに
 近寄らないのよ。
 ちゃんと動物好きな人は
 わかるのね」
と彼女は納得していた。
グラストンベリーアーサー王伝説で著名)に
行った時も、
あんちゃんと散歩中の犬に
出会ったのだが、
私のニオイを嗅ぎに寄ってきたし。


ハワースはもっと「村」という雰囲気かと
思っていたが、そうでもない。
メイン・ストリートは石畳の坂道だ。
嵐が丘の土地。
ブロンテ・カントリー。
Kate Bush の「Wuthering Heights」

が頭をかけめぐるが、
とにかく明日、
歩いてみないとわからない。


Wuthering Heights (Penguin Classics)

Wuthering Heights (Penguin Classics)


ここに来る途中で降りたリーズは
Dire Straits や
Soft Cell の出身地だが、
駅周辺を列車から見た限りでは、
いかにも工業都市という感じがして、
そっけなく、汚い。
建物はすべて赤レンガだ。


この部屋は洗面台はないけれど、
「少女趣味」していて
かわいらしい。
完全に「女の子」のための部屋だ。
花柄のカーテン、ふとん、
白いイスとタンス。


昼食はキングズ・クロス駅で
買ったサンドイッチと
Schweppe's の Orange Drink。
夜は Scotch Broth(おいしくない!)と
Limeade & Lager。


*************************


佳境に入る前だけど。
本日はこれまで。
だからさぁ。
ガソリン切れなんだってば。
それでも「書く」のは
キャサリンが憑依してるせいもあろうし、
私にとって
「書く」=「生きる」
を意味するからに他ならない。


回復の方法は、
あるにはある。
ただし。
私一人では不可能。
「ギブ&ギブ」から
「ギブ&テイク」へ。
願わくば。
「テイク&テイク」へ。



我が家のトマト在庫が
熟しすぎてきたので。
性懲りもなく。飽きもせず。
また作りましたわよ、
ガーリック・トマト・ソース。
今回は鶏挽肉バージョンだよ。