獲れたて3枚

jazzydays2008-06-24

近頃。
めったにCDを買わなくなった。
とりわけ。
ジャズ名盤ってヤツをな。
ジャズという音楽自体が
(他のジャンルも同様!)
聴衆と演奏者との
一期一会。

二度と同じ内容を
繰り返すことができない
瞬間・瞬間の
創造であり疾走だから。


すでにこの世を去った
ミュージシャンたちが
何十年も前に残した
いわゆる「名演」を
何度も何度も
録音で聴くこと自体に
空しさを感じるのよね。
それがLIVE盤だとなおさら。


一方で。
長年、愛してきた
国内ミュージシャンが
新譜を出すとなったら
見過ごせない。
必ず入手する。
すでにLIVEで
真価を見極めている彼らゆえ。
絶対に「ハズさない」確信があるし。


さて。
この1ヶ月あまりの間に
選りすぐりの3枚が出ましたわよ。
まずは。
類まれなベーシスト/コンポーザー、
増原巖 率いるクインテット
What's Up?
とにかくジャケがいい。
レトロで小粋。
いかにも「Jazzy」じゃん。



ロスト・アンド・ファウンド

ロスト・アンド・ファウンド


パーソネルは。
ベース、増原巖。
トランペット、田中洋一。
テナーサックス、河村英樹。
ピアノ、堀秀彰。
ドラムス、安藤正則。


9曲中7曲が
リーダー増原のオリジナル。
このバンドについて語る時は、
毎度同じ形容になっちゃうんだけど。
この世に生み出された時点で
すでにスタンダードの域

に到達しちゃってるんだよねえ。
彼の書く曲は。
ホントに粒揃い。


メンバーそれぞれの演奏も
躍動的な灼熱感に
満ち満ちている。
中でも。
凄味あふれる
河村英樹が素晴らしい。
ただの「エロテナー」と違いますよ。
スリリング。
ヤケドしそうにホット。


堀秀彰のピアノも
めくるめくような
技量と歌心。
蝶のように舞い、
蜂のように刺す。

モハメド・アリですかい。


ただね。
彼らのLIVEは録音より
もっともっと、
十倍も二十倍も熱い。
ナマで接すると、
いかにキケンな男たちかが
よっくわかるはず。


お次の1枚は。
上記のアルバムにも
参加しているピアニスト、
堀秀彰が
サックス奏者、
浜崎航(はまさき・わたる)と
タッグを組んだプロジェクト。


Encounter

Encounter


くつろぎタイムに
ムーディーで
オッシャレ〜な
ジャズでも流そうかしら....、
などと。
不埒なことを
考えている人は
買わんでよろしい。
このアルバムは
BGMには絶対なりえません。


パーソネルは。
ピアノ、堀秀彰。
テナー&ソプラノサックス、フルート、
浜崎航(マルチだわ...)。
ベース、高瀬裕(たかせ・ひろし)。
ドラムス、広瀬潤次。
ギター、滝野聡。


曲目はすべて
堀&浜崎2名のオリジナル。
1曲1曲が
キラめくダイヤだね。

みずみずしい。
輝かしい。
まぶしい!


国内ジャズアーティストの
アルバムを聴いて、
こんなにも
ドキドキワクワク
させられたのは久々だ。
1曲、聴き終えるごとに
拍手しちゃったよ。
いやあ。
未来ある若者は
無限の可能性に恵まれてますなあ。
(老婆発言。)


そしてもう1枚は。
ベーシスト荒巻茂生、
4枚目のリーダーアルバムだ!
そう。
あの野人@日本ジャズ界。
宇宙を体現するプレイでもって
聴く者の心を
原始日本の
精神的故郷に
無理やり連れ去る男。



http://www.airplanelabel.com/cdlists/ap1035.html


パーソネルは。
ベース、荒巻茂生。
テナーサックス、峰厚介
テナーサックス&フルート、竹内直(たけうち・なお)。
ピアノ、吉田桂一。
ドラムス、本田珠也。


彼らの演奏に
慣れていない人には
正直、とっつきにくいかもしれん。
しかし。
私にとっては
命の糧とも呼ぶべき
巨大エネルギーのカタマリ。
それが荒巻茂生の音楽である。


凶暴。
激烈。
狂熱地獄。
かと思えば。
くめどもつきぬ
「和」の叙情が
顔をのぞかせる。
言うなれば。
荒魂(あらみたま)と
和魂(にぎみたま)の
美しき共存。


ジャズ?
ロック?
そんなジャンル分けなど
この際、どうでもよくなる。
そこにあるのは。
荒巻茂生という男が
全身全霊で
聴衆に投げかける
音・音・音の洪水。
それだけだ。


インタビューによれば。
アルバムリリース後の
「レコ発」ツアーは
予定されていないようだが。
http://ongakujin.com/aramaki/index.htm
しばらく荒巻サウンド
ナマで接してない私。
飢えてます。
ぜひともやってくれ。
頼む。