とりあえず3周年

jazzydays2007-12-27

3年前の11月。
いつものクリニックで
エコー画像を
見ていたU先生の
顔色と声のトーンが
微妙に曇った。
「すぐにMRIのある
 病院に行って下さい。」
は?
MRI
何ですかソレは。
私、どこも痛くも
かゆくもないんですけど。
自覚症状、皆無なんですが。
とにかく。
それがすべての発端であった。


「紹介状を書きますが、
 どこの病院がいいですか?」
とU先生。
「ど、どこって....。
 先生オススメの病院なら
 どこでも結構です。」
「なるべく通いやすい
 近場がいいですよ。
 K病院はどうでしょう?」
「あ! 私、K病院で生まれたんです!」


アタマの中で
「K病院で生まれて、
 K病院で死んだりして。けけけ。」
などと、悪い冗談にもつかぬ
セリフがコダマする。
時は師走。
なかなか思うように時間が取れず、
ようやくK病院に足を運んだのは
それから2週間も後のことだった。


大病院での待ち時間
(それも初診)は長い。
激・長い。
超・長い。

不安を抱えたまま
ソファに座り続けているのは、
実に心臓に悪い。
やっとのことで
名前を呼ばれた時には、
相当、待ちくたびれていた。


そこで。
いきなりのアッパーカット!
私の顔を見るなり、
担当のY先生はこう切り出した。
「私は滅多なことでは、
 初診の患者さんに
 こんなことは言いません。
 お互いの関係性が熟してから、
 申し上げるのを旨としています。
 が。あなたの場合は即、
 手術日を決めましょう。
 がんです。」
ぐげーっ。
マジかよーっ。


やらなきゃいけないことが
山ほどあるし、
今のところ、
どこも具合悪くない。
「でででででも先生!
 イロイロ仕事を片づけてから、
 1月に延ばせませんか?」
すると。
先生は毅然と告げた。
「アナタねぇ、
 自分の命のことでしょう?
 知らないよ、
 腫瘍が破裂しても。
 とにかく。
 今後はカラダ最優先で
 行きましょう!」


で、早くも。
その日の午後から検査漬け。
大病院の各階を
ドタバタ行ったり来たり。
ようやっと一段落し、
ナースステーションに
足を踏み入れた時には、
知らず知らず涙があふれ出ていた。
年配の看護師さんが
私の肩をさすりながら声をかけてくれる。
「大変だったね、疲れたよね、
 でもね、大変なのは今だけよ。
 入院しちゃえば、
 グッと楽になるからね。」


帰り際。
病院の職員食堂がある
高層階に一人で行き、
窓際のソファに腰を下ろした。
多少、人目についたって、
ココは大病院だ。
泣いている人間がいても、
不思議だとは思われないだろう。
そこで声を出さずに
思いっきり泣いた。
「どうして私が?
 何で? 何でだよ?」


手術日は。
赤穂浪士・討ち入りの日と
クリスマスイブの二者選択。
悪趣味な私が選んだのは
トーゼン後者だよ。


キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)

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早期発見だったおかげで、
無事、手術は成功。
抗がん剤治療もせずにすんだ。
見つけて下さったU先生は
私の命の恩人である。
てなワケで。
大量ドーピングしつつも。
サイボーグ人生、
しぶとく送ってます。


信頼できるホームドクター
絶対に確保しとけよ皆さん。
ドコも悪くないと思っても、
ナニも自覚症状なくっても、
マメに検診受けとけよ。
それと。
せいぜい私に孝行しろよ。
さーて。
今日は二度目の
インフルエンザ予防接種だよ。


画像は拾いモノ。
「世の中にはヒマな人が
 いるのねぇキルト寿司」。