大野雄二とQOLと。

実はこの一週間。
とある「シリアスな病気」疑惑でドタバタしていた。
検査結果が判明したのは土曜の午前。
めでたくシロでありました。はふー。
で。その晩は明るい気分で鎌倉ダフネへ。
数ヶ月ぶりに大野雄二トリオ+1を聴く。
パーソネルは。
ピアノ、大野雄二。
ベース、俵山昌之。
ドラムス、村田憲一郎。
パーカッション、横山達治


Mr.大野の演奏ぶりについては、すでに詳しく
書いたことがあるので繰り返さないが
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20051029参照)、
いつ聴いても、プロ中のプロの凄味を感じさせる。
セニョールこと横山達治の毎度「氷点下」なジョークも健在。
しかし、俵山昌之のベースはなぁ。
きっと何をやらせても器用な人なんだろうが
(だからこそ一流アーティストとの共演が目白押しなのだが)、
いかんせん、おとなしい。おとなしすぎる。
ハッキリ言って退屈。つまんない。
以前、ダフネの常連さんも言ってたっけ。
「もっと主張してもいいのに!」と。その通り。
もっともっとブチ切れたアンタを見せてよ!見たいよ!


まあ、それはともかく。
彼らのLIVEを聴いて「裏切られた」気持ちに
させられたことは一度もない。
恐ろしいほどに研ぎ澄まされ、磨き上げられた
最上級のダイヤモンドである。


さて。このバンドのドラマー、憲サンは本業が歯科医。
昨年初め。私が人生初の大病をクリアして久々に
出かけたジャズクラブで再会した時、
「よく戻ってきた!」と力強くhugしてくれた人。
LIVEの休憩時間に彼とよもやま話。


「これからは、いい意味でワガママになる!
  会いたい人には会っておく、行きたい場所には
  できるだけ行っておく、嫌いなことはなるべくしない。
  こう見えて、ずーっと優等生だったから。」
憲「うん。優等生だから病気になるんだよな。
  でも人間、病気はしたほうがいいんだよ。
  人生上、絶対いいんだよ。」
「いよいよ末期を迎えたら、少々人生は
  短くなっても痛みは取り除きたい。」
憲「モルヒネは凄まじいスピードで寿命を縮めるよ。
  痛みがなくなると、治ったような気がするけどね。」
「海外旅行に出かける人もいるんだってね。」
憲「うん。しかし確実に死期は早まる。それでもいいならね。」
「じゃあ、何かあったら憲サンに相談するからね!」
憲「オレは歯医者だから役に立たないよ〜(笑)」
「とりあえず、医療関係者としてのアドバイス希望!」


ってな、やりとりがあった。
LIVEに出かけた翌日、4/23付・読売新聞日曜版に
女優・大空真弓(5年間で4回もがん闘病)の
コメントが掲載されていた。
「信頼できる友にどれだけ救われたか。
だから私は、会いたくなったら
何をおいても会いに行く。
"いつも初めての出逢いのように"
色紙にはそうしたためます。」


QOL=Quality of Life。
まんま人生の質。
もし余命いくばくもないことが判明したら、
自分なりに納得のいく幕の下ろし方をしたい。
長年の願望は意図的な客死@モスクワだが
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20060331参照)、
そうは問屋がおろさなかった場合。
はたして私は自分の人生にどうオトシマエをつけるのか。
今から考えておいて、早すぎるということはなかろう。