諧謔のセルフポートレイト

jazzydays2013-06-05

日曜に都内へ出かけるなんぞ
滅多にないことなんだが。
ラファエロ展をあきらめても
見たい展覧会があったのだ。
トコロは練馬区立美術館。
画家の名は牧野邦夫
数週間前。
ETV「日曜美術館」で
彼の作品をほんのほんの
少しばかり垣間見た、
たったそれだけなのに
ジョン・マーティンと並ぶ
http://d.hatena.ne.jp/jazzydays/20120119
「ただならぬ」気配を
嗅ぎとってしまったのである。



「狐の面(!)と自画像」。


当日は展覧会最終日。
それなりに賑わってはいたが、
超有名アーティストの
"行列系"エキシビションとは異なり、
黒山の人だかりで
作品が見えないほどではない。
足を運んだのは
牧野の呪術的磁力に
吸い寄せられた人々のみだろう。
徹底した写実による
おどろおどろしい情念と幻想。
彼の作風に興味おありの方は
画像検索されたい。



「化物と暮す男」。足元にキツネが!


生涯におびただしい数の
自画像を描いた牧野。
通常、自画像とは冷徹な客観なくして
成り立たないものだが、
彼の場合、その客観が
極端な諧謔味を伴う。
さまざまな衣装とキャラに
身をやつし、
己を茶化し、
時に美化し、
道化と化す。
さすがは双子座よのう。



「賭けをする人たち」。ラ・トゥールの影響が匂う。


ラ・トゥール「いかさま師」。


牧野邦夫画集―写実の精髄

牧野邦夫画集―写実の精髄


帰宅後は久しぶりに
TVでN響定期演奏会を視聴。
指揮は準・メルクル。
曲目はリストの「プレリュード」、
同じくリストの「ピアノ協奏曲第一番」、
サン=サーンスの「交響曲第三番(オルガンつき)」
という珠玉のラインナップ。
メルクルは好きな指揮者だが、
ソリストのヘルベルト・シュフは
やや感情過多で暑苦しく感じた。
ペダリング過剰)。
リストはもっと非情でなければ。


クラシックでもジャズでも
ピアノは力強い打鍵と
濁りのない音色以外、
受けつけぬワシである。
リストと言えば
同郷のバカテク超絶ピアニスト、
ジョルジュ・シフラ



えげつないほどの
ケレンと大見得、
およそクラシック・ピアニストで
あれほどのエンタメ
(ある種、大道芸的な)境地にまで
到達した者が他にあっただろうか。
このリハーサル光景↓も唖然モノです。



おうよ。
絵でも音でも
濃ゆいのが好きなんだよ昔っから。
牧野展の後は美術館隣接の
サンライフ練馬
(東京中高年齢労働者福祉センター)にて
遅めの昼飯兼早めの晩飯。



いかにもカフェごはん、
といった盛り付けなのだが
公共施設の「食堂」然とした
たたずまいが好ましい。



またしても
前歯(差し歯)がグラグラゆらゆら。
例によって出先で
「おっとおおお!」と
パニクる前に歯医者を予約した。
マインドもボディも
つっくづく切り替えドキだわなあ。
今週末は恒例カフェ講座だす。
展開中のハウス各論に加えて
今回はちょぴっと
文化人類学的考察も予定。
http://tinyurl.com/9kuxry2