「マクベス」@関内ホール

jazzydays2009-08-23

8月も終わりに近い土曜日。
毎夏恒例、
「子供のためのシェイクスピア
シリーズを鑑賞。
公演会場は関内ホール
うれしいことに
我が縄張り=馬車道


シリーズ発足後
15年を迎える今回、
選ばれた作品は私にとって
「リチャード三世」と並んで
深い思い入れがある
マクベス」。
翻訳は小田島雄志
脚本・演出は
毎度おなじみ山崎清介。


セリフは小田島訳に基づきながらも、
現代風の言い回しに
かなり加工されている。
客席の笑いを誘う
ジョークやアドリブも健在。


訳出当時は
斬新の極みだったはずの
小田島訳も登場以来、
四半世紀以上の時が流れ、
後続の松岡和子訳と比較すると、
どうしても冗長な感が
なきにしもあらずなのだが、
山崎の手による脚本は
不要な枝葉が
小気味よく剪定され、
見事に引きしまっている。


マクベス (白水Uブックス (29))

マクベス (白水Uブックス (29))


シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫)


キャストは総勢8名。
このたびは私が長年、
全幅の信頼を置く
俳優兼演出家の彩乃木崇之
3年ぶりにシリーズ復帰を
果たしたのがうれしい。


マクベス
石田圭祐
マクベス夫人/マクダフ、
伊沢磨紀。
●ダンカン/メンティース、
彩乃木崇之(あやのぎ・たかゆき)。
●バンクォー/ケースネス、
戸谷昌弘。
●マクダフ夫人/ドナルベーン/
 フリーアンス/シーワード、
キム・テイ。
●マルカム、
若松力(わかまつ・ちから)。
●レノックス、
窪田壮史(くぼた・たけし)。
●ロス/ヘカティ/人形
山崎清介(やまさき・せいすけ)。


こう見ると、
15年の間にずいぶんと
顔ぶれが入れ替わったのねえ。
それでも。
スピーディでキレのよい
本シリーズの持ち味は不変だ。
「子供のため」と銘打ってはあるが、
どうしてどうして。
大人の目にも十分耐えうる、
どころか。
大人が身を乗り出して楽しめる
クオリティーの高さ。


お盆休み直後の
公演だったせいか(?)、
ホール内には空席が結構あった。
残念だわねえ。
こーんなに上質な
エンターテインメントを
超・良心価格(2000円!)で
見られたのにさ。
そうよシェイクスピアはエンタメよ。
下世話で猥雑で
人間臭くて起伏に富んでて
喜怒哀楽てんこ盛り。
断じて「お文学」でも
「お芸術」でもございません。


フリーアンスの伏線を
しっかり生かした
ラストシーンはさすがだ。
魔女たちの予言を
そのまま受け取れば、
「歴史は繰り返す」予感を
抱かされて当然なのだから。
山崎演出、原作を
とことん研究しつくしてる。


このシリーズを
鑑賞した後は決まって
「夏が終わってしまう...」
という淋しさにとらわれる。
来年の夏も。
きっと会おうぜ。
それまで
しばしさらばだ、
愛しきカンパニーの面々よ。



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