音楽的器官

jazzydays2009-04-07

音楽=魔物。
演奏者=生身の楽器。
音楽に心身を明け渡した器官。
ミューズの下僕。
音楽を生業としていない私だが。
この信念は長年、
揺らいだことがない。
今後も決して
揺らがぬだろう。
言い換えるならば。
ヤバくなくっちゃ
音楽じゃない。

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名称が器官(organ)そのものを
意味する楽器がある。
オルガン。
先日のセラピーで得た
ヴィジョンに導かれ、
ようやっと
この作品を読んだ。


オルガニスト (新潮文庫)

オルガニスト (新潮文庫)


以前からタイトルと内容は
薄々知っていたものの、
読めぬまま十年近くの
歳月が経過していたのだ。
それゆえ。
今回の邂逅は
「満を持した」感あり。
コレを読んで
戦慄と同時に
深い共感・感銘を
覚える人は
間違いなく我が同胞。
ほとんど全ページを
紹介したいくらいだが。
とりあえず以下に数ヶ所抜粋。


≪ふつうの意味で感情豊かな、
 情感あふれる人間に、
 必ずしも聴き手の心を動かす
 演奏ができるわけではない。
 もちろん技巧の有無とは別の話だ。
 日常的な感情を演奏に注ぐことは、
 弾き手として
 むしろしてはならないことなんだ。 
  (中略)
 日常生活では人間的な感情を
 ろくに顕わさないくせに、
 巨大な「音楽的感情」を
 内蔵している人間が
 わずかながらいるんだ。
  (中略)
 芸術の魔性と言うべきものだ。≫


≪覚えておいた方がよい。
 芸術の道で己を高めたいという
 真摯な気持ちにこそ、
 悪魔がつけいるということを。
 悪魔の道は神の道のすぐ隣を通っているんだ。≫


≪「悪魔を探すにはどうするか知っているかい」
 「さあ.....どうしましょう。
  悪魔に取りつかれた人間でも探すのですか」
 「違う。神に似た者を探すのだ。
  神の似姿として完璧に近く、
  しかも神でない者、
  それこそが悪魔なんだ」≫


≪音楽の演奏に関して、
 とりたてて奏者の属性やアプローチを
 議論してもしかたないさ。
 いま奏でられ、鳴り響いている「音」だけが
 音楽のすべてなんだ。
 他になにがあるというんだ。
 言葉で音楽のそばに寄ることはできるけれど、
 音楽の髄には触れようもない。≫


オルガニストになれないなら、
 人間に戻りたいとは思わない。
 ぼくは音楽に − オルガンになりたい。≫ 


「ぼくは音楽になりたい」
「音楽家」じゃないよ。
「音楽」だよ。
生身という牢獄に
魂を閉じ込められた者の叫び。
君はどうして。
この世になんぞ
生まれ落ちちゃったんだ。
しかし。
それこそが天才の本質だろう。


ああよかったわ凡人で。
ただ。
こんな私でも
時折チラリと
「ナニか」が
目の前をかすめることがある。
その瞬間、
楽家たちの苦悩が
ほんの少しだけ
垣間見える気がする。


私の場合?
それはね。
メルクリウス(水星)の影法師。
わかる人にはわかるよね。
画像は昨晩の野毛。
本日の召喚儀式@裏倉庫。↓
http://ameblo.jp/jazzydays/day-20090407.html



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