Roy Hargrove5@Blue Note

jazzydays2007-09-12

昨年、定年退職したばかりの
叔父は根っからのラテン体質。
「濡れ落ち葉」や
「ワシも族」や
「産業廃棄物」
などといった形容とは
全く無縁。
とにかく。
遊びたくって遊びたくって
しょうがない。
なのに。
相手をしてくれる人間が
そばにいないので、
必然的に独り身の
私にお声がかかる。


その彼が一年ほど前からしつこく
繰り返していた要望があった。
それは。
ブルーノート東京へ行きたい!」
ええええええええ。
高い・短い・遠い!
の三拍子揃った店へかよ?
さらには。
「出演者は誰でもかまわない。
 とにかく連れてってよ!」
要するに。
観光したいんだね。


せんだって。
叔父夫婦と
鎌倉で昼ゴハンを食べた折、
またぞろ、その話が蒸し返されたので、
私もようやく重い腰を上げることにした。
誰でもいいなら、
私好みのミュージシャンを
選んじゃうもんね。
当然。
費用は一切合切、
叔父さん持ちだもんね。


しかし。
来週は病院通いウィークで、
なかなか時間も体もキツイ。
その後の経緯もどうなるかわからん。
急がねば。
ブルーノート東京のスケジュールを
丹念にチェック。
どうせなら、
がっちりタイトで
ストレート・アヘッドな
ハードバップを聴きたい。


で。
この人を発見したワケだよ。
トランペッター、
ロイ・ハーグローヴ


ナッシング・シリアス

ナッシング・シリアス


まずは。
HMVのサイトで試聴。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1370499
そして。
選択の決定打となったのは以下の動画。
http://jp.youtube.com/watch?v=NdnFKxd38ek
http://jp.youtube.com/watch?v=L0GQ_D67s6k


すぐにCDを入手し、
店に予約を入れる。
飛ぶように日々は過ぎ去り、
またたく間に当日がやって来た。
開場のかなり前に到着して
ステージど真ん前、
砂かぶりならぬ
ツバかぶり席を確保。


パーソネルは。
Roy Hargrove(tp)(flh)
Justin Robinson(As)
Gerald Clayton(p)
Danton Boller(b)
Montez Coleman(ds)


のっけから
会場内の空気をつんざく
鋭角的な切れ味に圧倒される。
恐ろしいほどの集中力。
まさしく。
斬り込み隊長!
寄らば斬るぞ!的な気迫。
唾液が霧状になって、
今にも私に降りかかってきそう。
ジャズ初心者の叔父も目を丸くして
身を乗り出し、聴き入っている。
演奏が白熱すると、
ロイのコロンの香りが
ふんわり漂ってくる。
はぁあぁああぁああぁあ。
フェロモンですわ。


おそらく。
生前のリー・モーガンを初めて
ナマで聴いた人間は、
きっとこんなふうに
「やられちゃった」んじゃないかな。
トランペットからフリューゲルホルンに
持ち替えてのスローナンバーも、
ロディアスなだけで退屈な
「バラード」に堕することがない。
とにかく。
メリハリがあって、
イキがいいのだ。


アルトサックスのジャスティン、
堂々たる体躯に楽器がおもちゃのようだが、
ノンブレスで延々激しいフレーズを
吹きまくる姿には
マッチョな魅力満載。


ドラマーのモンテス、
ドラムセットを破壊しそうな叩きぶり。
もうちょっと繊細さが欲しい。
これなら。
江藤良人のほうが好きだな。


ピアノのジェラルド、
確かな技巧と茶目っ気がミックスされた
キュートなキャラ。
だけどこれなら。
堀秀彰のほうが好きだな。


特筆すべきは唯一の白人メンバー、
ベーシストのダントン。
おとなしそうな顔して、
何なんだキミは。
超人的なリズム感と指さばき。
中国雑伎団か?
シルク・ドゥ・ソレイユか?
そのバカテクぶりは
常人の理解の範疇を超えている。
アンタ人間じゃないわね。
だが。
ロボットみたいな冷たさはなく、
あくまでもプレイは人間臭い。


楽しい時間はみるみる過ぎゆき、
いつしかラストナンバー〜アンコール。
演奏時間は約80分強。
中身の濃さに十分満足し、
食い足りない気は全くしなかった。
終演後。
叔父がトイレに立った合間に、
ふと見ると。
ロイがフロアに出てきているではないか。
思い切って話しかけ、
サインをもらって握手した。
イイ夜だったわ。
ありがとね、Y叔父さん。
また連れてってあげる(?)からね。
次回は12月の
Mario Biondi & The High Five Quintet
のスポンサー役ヨロシクね〜ん。


Handful of Soul

Handful of Soul


画像はロイのサイン。