地下鉄のジジ

jazzydays2012-03-09

火曜の夕方。
とある路線に乗っていたらば。
向かいの席から
当方を見てニッコリ微笑み
目礼する男アリ。
見覚えのない顔だったが、
ひょっとして
どこかで会ったことが
あるのかもしれん、
失礼になってはいかん、と
とりあえず目礼を返した。


我が隣席が空いたと見るや
その男がこちらのシートに
移り座ってきたので
「あのう...以前どっかで
 お会いしましたっけ?」
とたずねると。
「いえ。
 さっきから拝見していて
 素敵な人だなあ、と。
 目が離せなくなりました」
はああああ?
何だよナンパかよ。
当日の我が服装は
全くイケイケでも何でもなく
野暮ったい黒のダウンにスニーカー。


うぜえなあ。
アタシゃ今から病院に行くんだよ。
血圧高いんだよ。
気分上々じゃないんだよ。
とっとと降りてくんな。
が。
敵は異様な熱意で押してきた。
「交際お願いできませんか?
 いくらでも出しますよ。
 5万円? 7万円?
 援助しますよ。
 絶対に秘密は守りますよ。」
は、はああああああああ?
こちとらプロじゃないんだよ!
ぬうううう。
そ、そんなに貧しく見えんのかワシ。
ガックシ。


さらに。
たたみかけが執拗。
病院に行く、
と言ってんのに
「診察が終わるまで
 待っててもいいですか?」
ぐええええええ。
「かわいそうに。
 どこが悪いの?
 交際して下さいよ。
 援助しますよ。
 ますます離せなくなっちゃったなあ。」
じょ、冗談じゃねーわ。
どうにかこうにか振り切り、
ようやくあきらめたのか敵は
「じゃ...ここで失礼します」と
電車を降りた。


と。
ここまではよかった。
やれやれ。
ホッとしたわい。
と思ったのだが直後。
野生のキツネ本来の
動物的アラームが
体内で鳴り響いた。
降りたフリして
ヤツはまだ電車に乗ってんじゃね?
アタシが降りると同時に
ついて来るんじゃね?
い、いかん逃げよう。
とっさにできるだけ
前方の車両に移動し、
次の駅でササッと降車。
ホームから素早く
降りたばかりの
電車に目を走らせると。
や、やはり!
件の男、さっきの2両後ろの
車両に乗っているではないか。
慄然。


モテ自慢でも何でもない。
あなおそろしや。
情けなや。
このトシでモテるんなら
もうちょいマシなモテ方したいぜ!
ったく泣けるわ。
こーゆー時、
役立つ男が近くにいないで
どうすんだよ。
すんげえ不便。
超迷惑。
ああ腹が立つ。
敵はもちろん、
オメエら日本男児全般にだ!(怒)
節穴目しか持たん烏合の衆めら!
うぎゃあああっアタマに来る!
またまたまた血圧が上がるじゃんかよ!!!


地下鉄のザジ【HDニューマスター版】 [DVD]

地下鉄のザジ【HDニューマスター版】 [DVD]