絶望DNA

かつて。
名指揮者として日本では
ベームワルター
人気あったけど。
根っこがパンクで
ヒネクレ者の不肖キツネ。
ライナー、セル、
トスカニーニ
ムラヴィンスキーといった
情け容赦ない鬼将軍系が好きだった。
とっにかく。
必要以上にスローな
テンポが大嫌い。
ただ。
もっともっと
惚れ込んでいたのは
地味ながら熱く
人間味あふれる職人気質の
フリッチャイ、ケンペ。
そして。
アル中モク中、
パンク層にも愛された
テンシュテット
指揮者もソリスト
社会主義圏出身者が
妙に好みだった。


そろそろ父の命日が近い。
正直。
短気で神経質だった父を
好きではなかった。
たぶん。
彼も子供好きでは
なかったと思う。
時代的に
「身を固める」のが
当然とされた頃。
フツーに結婚して
フツーに家庭を持った、
だけなのだろう。


そんでも。
父は母を必ず
名前で呼んでいた。
テメエの親でもないのに、
配偶者を
「お父さん・お母さん」
「パパ・ママ」
と呼ぶのって理解不能
子供がクッションになった
呼び方なのだろうが、
その時点でセックスレス
約束されたような
ものでしょう。


後年。
父にはイヤと言うほど
似てると自覚。
せっかちな性質はもとより、
バースチャートの
共通項ったら
唖然とするわよ。
親子愛の甘やかな記憶なんて
ほっとんどないのに。
しっかり継承してござる。
DNAは無理でも
おキツネのミーム
後の世に残したいものだが、
いっこうに聞く耳もたぬ
浮世にオレは
絶望しとんじゃボケ!