アナログ・キッズ

昔っから。
ディスコやクラブが
好きじゃない。
誰かが勝手に選んでかける
録音された音楽なんぞで
踊らされてたまるか。
わっざわざ出かけて行くなら、
基本。
生演奏でなきゃ
踊らない。
踊れない。
そんじゃあ。
踊らせる側に
なったろうじゃん。


と。
大昔。
湾岸の倉庫街が
発信地だったあの頃。
芝浦GOLDのDJ募集に応募した。
テープ審査は通り、
面接を経て、
仮採用が決まりかけた。
一晩1万円。
当時としちゃあデカイ。
が。
勤めていた職場との
折り合いがつかず、
実現には至らなんだ。


もし。
あの時DJになってたら。
その後の人生、
どう展開したことでしょう。
案外、変わってないんじゃね?
たぶん。
病気も何度かしただろうし、
文章を書くのはガキの頃っから
宿命だったし。
きっと。
表現方法にちょいとした
違いがあるだけさ。


映画「ノーザン・ソウル」は
1974年イギリス北部が舞台。
ワーキング・クラスの
青年がソウル・ミュージックとの
遭遇を経て、
相方の青年ともども
ドタバタ暑苦しくも
せつなくハッチャける
バディ映画である。
と言ってしまえば
それまでだが。


全編を貫く
アナログ音楽への
盛大なる情熱と
リスペクトに打たれる。
今となっちゃあ。
たいていの曲は
ネット検索&デジタル音源で
チョチョイのチョイ、
と入手可能であるが。
これぞと思うレコードに
ぶち当たるまでに、
ものすんごい手間ヒマ
かけてたんだよ昔のガキは。
ワシを含め。


この作品は今回が
日本初公開ではない。
不肖キツネも見るのは2回目。
出向いた映画館は茅ヶ崎
だーれが新宿や
クッソ吉祥寺なんかに
足を運ぶか、
ってんだよ!!!!!
上映期間はわずか1週間につき、
抗ヒスタミン剤コデイン
ドーピングしつつの
無理無理鑑賞。
もっちろん。
名古屋で買った
ネバトラ(Never Trust)の
ノーザン・ソウル仕様、
「握り拳」柄Tシャツ着用じゃ。


茅ヶ崎はひっさしぶりに
降りたが(実は電車で20分)
人も街も適度にユルくって快適。
かつて。
藤沢に勤めてた頃を
思い出したなあ。
ほんの少し離れてるだけなのに、
横浜より確実に
あったかいんだよ気温も人も。


現在地より
西へ西へ、
南へ南へ、
そのまんま名古屋へ。
徳島へ。
宮崎へ鹿児島へ。
不肖キツネの体内を
流れる血液には
方位磁石が仕込まれている。
間違いなく。